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センター教員の研究業績について外国語教育セミナー

言えそうなのに言わないのはなぜか ー学習者と母語話者の違いー  Learners would say but native speakers wouldn’t: Constraints and creativity of constructions

Adele Goldberg(プリンストン大学 心理学部 教授)

題目:Choosing good-enough constructions

要旨:What are children trying to do when they learn language? They aim to understand others’ messages on the basis of witnessed formal cues, and aim to access patterns that will convey their intended messages. This requires them to learn a rich network of constructions, which are simply pairings of form and function, at varying levels of abstractness and complexity. What happens when an ideal combination of constructions is inaccessible? In this case, we all use a “good-enough” combination. I will explain how choosing good-enough constructions underlies a wide range of phenomena including: polysemy, language change, overextensions (labeling a cow, dog), grammatical overgeneralizations (e.g., She laughed me), L2 errors, and linguistic creativity. On this perspective, what makes an error an error is the existence of a different, more optimal combination of constructions.

以下の動画はどちらも同じものです。
(念のために異なるGoogle Driveに保存されています。)

動画(ミラーサイトA):55:55


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動画(ミラーサイトB):55:55


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*本発表は、「言えそうなのに言わないのはなぜか—構文の制約と創造性 」(ひつじ書房)と Explain Me This: Creativity, Competition, and the Partial Productivity of Constructions(プリンストン大学出版会)の内容に基づいています。

     

 
*上の本(日本語訳)は読売新聞 本よみうり堂 でレビューされました。
(評・飯間 浩明(国語辞典編纂者))
英語で作文すると、理屈は通りそうなのに、「実際の英語ではそうは言わない」と直されてしまうことがあります。本書の原題にも使われた「Explain me this」(これを私に説明して)もそのひとつ。「Explain this to me」というのが一般的な表現だそうです。なぜ前者でなく、後者が使われるのか。「そういう見えないルールがあるのだ」と説明する研究者もいます。たしかに、英語の辞書を見ると、何行にもわたって語法の説明が書かれています。「explain」のようなラテン語起源の動詞には、前者の文型は使われないらしい。でも、英語を話す人が、辞書にあるルールを一つ一つ暗記しているとも思えません。本書の著者は別の考えを述べます。母語話者は、ことばに関する膨大な記憶を、一部抽象化しながら頭に蓄積します。頭の中では、似たような表現がクラスタ(まとまり)を作っています。たとえば、「動詞+to+対象」の形を作る表現のクラスタがあって、その中に「Explain this to me」も記憶されているわけですね。母語話者は見えないルールに従っているのではなく、自分が見聞きしたことばの記憶に基づいて話しているというのは、理解しやすい説明です。初めにルールありきではないので、新しい状況に即して、ことばを創造的に使えるのです。著者は、ことばの習得・運用にまつわる不思議を鮮やかなイメージで説明しています。