KOBE UNIVERSITYSOLAC神戸大学 大学教育推進機構 国際コミュニケーションセンター

センター教員の研究業績について外国語教育セミナー

言えそうなのに言わないのはなぜか ー学習者と母語話者の違いー

Learners would say but native speakers wouldn’t: Constraints and creativity of constructions

 

本シンポジウムは、理論言語学と心理言語学が出会う異分野共創国際シンポジウムです。このたびは学習者と母語話者の違いをテーマにして、理論言語学と心理言語学が出会ったら、言葉を使い始めた小さな子ども・第二外国語習得に奮闘する学習者・熟達した大人の母語話者の言語使用や言語習得に何が言えるのかを一緒に考えましょう。(学部生や院生、学外の方もお気軽にお申し込みください。)

 

日時 2022年3月25日 (金)16:30〜20:00

会場 Zoom (リアルタイム申込226名、オンデマンド申込112名)

講師 第1部 16:30-18:00 講演(ライブ90分、日本語)

濱野 寛子(名古屋学院大学 経済学部 講師)「話者の活動経験が事物の数え方に影響を与える可能性」

木原 恵美子(神戸大学 大学教育推進機構 准教授)「L2英語学習者による響鳴ー構文のファンネル構造ー」

巽 智子(神戸大学 国際文化学研究科 講師)「質問と返答のやりとりの学習と発達的変化ー日本語親子会話コーパスの分析からー」

第2部 18:00-19:30 講演(ビデオ60分、英語)/ 19:30-20:00 質疑応答(ライブ30分、英語)

Adele Goldberg(プリンストン大学 心理学部 教授)

題目:Choosing good-enough constructions

要旨:What are children trying to do when they learn language? They aim to understand others’ messages on the basis of witnessed formal cues, and aim to access patterns that will convey their intended messages. This requires them to learn a rich network of constructions, which are simply pairings of form and function, at varying levels of abstractness and complexity. What happens when an ideal combination of constructions is inaccessible? In this case, we all use a “good-enough” combination. I will explain how choosing good-enough constructions underlies a wide range of phenomena including: polysemy, language change, overextensions (labeling a cow, dog), grammatical overgeneralizations (e.g., She laughed me), L2 errors, and linguistic creativity. On this perspective, what makes an error an error is the existence of a different, more optimal combination of constructions.

 

申込    こちらの フォームからお申し込みください。

 

*本シンポジウムは、「言えそうなのに言わないのはなぜか—構文の制約と創造性 」(ひつじ書房)と Explain Me This: Creativity, Competition, and the Partial Productivity of Constructions(プリンストン大学出版会)の内容に基づいて進行します。

     

 
*上の本(日本語訳)を 読売新聞 本よみうり堂 でレビューしていただきました。
(評・飯間 浩明(国語辞典編纂者))
英語で作文すると、理屈は通りそうなのに、「実際の英語ではそうは言わない」と直されてしまうことがあります。本書の原題にも使われた「Explain me this」(これを私に説明して)もそのひとつ。「Explain this to me」というのが一般的な表現だそうです。なぜ前者でなく、後者が使われるのか。「そういう見えないルールがあるのだ」と説明する研究者もいます。たしかに、英語の辞書を見ると、何行にもわたって語法の説明が書かれています。「explain」のようなラテン語起源の動詞には、前者の文型は使われないらしい。でも、英語を話す人が、辞書にあるルールを一つ一つ暗記しているとも思えません。本書の著者は別の考えを述べます。母語話者は、ことばに関する膨大な記憶を、一部抽象化しながら頭に蓄積します。頭の中では、似たような表現がクラスタ(まとまり)を作っています。たとえば、「動詞+to+対象」の形を作る表現のクラスタがあって、その中に「Explain this to me」も記憶されているわけですね。母語話者は見えないルールに従っているのではなく、自分が見聞きしたことばの記憶に基づいて話しているというのは、理解しやすい説明です。初めにルールありきではないので、新しい状況に即して、ことばを創造的に使えるのです。著者は、ことばの習得・運用にまつわる不思議を鮮やかなイメージで説明しています。
 
著者の考え方を日本語に当てはめてみましょう。たとえば、「現状に鑑みる」「現状を鑑みる」というふたつの言い方があります。どちらも伝統的な形ですが、「鑑みる」が、頭の中で「(〜に)基づく・即する」と同じクラスタに入っている人と、「(〜を)考える・踏まえる」と同じクラスタに入っている人がいて、それで両方の言い方があるのでしょう。私たちの話す日本語を考えるためにも、参考にしたい研究です。
 
*本シンポジウムは JSPS 科研費 基盤研究(C) 研究課題20K00680「構文学習における構文の限定的生産性の探索的研究」(研究代表者:木原恵美子)の助成を受けています。
 

 

本学は、開放的で国際性に富む固有の文化の下、「真摯・自由・協同」の精神を発揮し、人類社会に貢献するため、普遍的価値を有する「知」を創造するとともに、人間性豊かな指導的人材を育成します。本年で、1902(明治35)年の創立以来120周年を迎え、これを機に、2030年に向けて、特に長期ビジョンとして「知と人を創る異分野共創研究教育グローバル拠点」を目指しており、

 - 世界最高水準の異分野共創型教育研究拠点の構築

 - 様々な連携・共創の高い次元での推進

 - 現代及び未来社会の課題を解決できる優秀な人材の育成

 - 新たな知と価値創造によるイノベーションの創出

 - 超高齢化、ポストコロナ、知識集約型デジタル社会への貢献

について進化・発展し続けて参ります。このような取組みの一環として、年間を通じて国内外で行う本学主催のシンポジウムや、市民向けの公開講座、更には学生主催のイベントなど創立120周年記念事業として開催します。